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【2006.09.05 Tuesday 】 author : スポンサードリンク
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HEY BOY,  HEY GIRL,  HEY パンツ,
女のパンツってめちゃくちゃ小さいって知ってる?


小学校三年生の頃だった思う。
僕は哲也とよく遊んでいた。哲也との遊びは主にエロ本収集。近くの川原に出掛けると何故か濡れたエロ本が八割方手に入る。濡れたエロ本はページ間が張り付いていて慎重にめくらないと続きを読む事が出来なくなるという非常に特殊な読み物なのだ。ただその焦らされた分、より官能的に、より感動的にエロ本の世界に入り込む事が出来るというのは経験者なら分かるだろう。多分エロ本というのは濡らして読むべき物或いは一度濡らし、乾き、パリパリで読むべき物と相場は決まっているのだ。コンビニで売ってるエロ本も、濡らして売れば上場だ。

そんな濡れ本が僕と哲也を結ぶキーワードで、逆に言えばそれ以外に哲也と遊ぶメリットは皆無だった。


そんな薄っぺらな僕と哲也に大きな絆を築いた一大イベントが始まろうとしていた。冒頭に述べた疑問符こそ、薄っぺらな哲也の僕への問い1だった。


え?めちゃくちゃ小さいの?

哲也
めちゃくちゃ薄っぺらいよ


え?どんぐらい?

哲也
ガチャガチャのカプセルに閉じ込められるもん




という事は、哲也は試したという事か。
何故女のパンツを手に入れ、何故カプセルに閉じ込めたのか考えるのもおぞましいが、彼はやってのけたようだ。いとも簡単に。


哲也
手に入るけど行く?


僕が考え事してるにも関わらず言葉のかぶせ。僕はまるで熱狂的なオカルト信者のように、哲也の力強い御言葉に乗ってみようと素直に感じた。


哲也と僕が向かったのは哲也の家からそう離れていない場所だった。そこに若い女性が住んでいるそうで、外に下着がいつも干してあるという。簡潔に言えば下着を盗む、窃盗罪だ。

その家のベランダからは確かに洗濯物の映像が目に飛び込んできた。
そしてその洗濯物の中に実に堂々とした優雅な姿で干されていたパンティを見た。僕はしばしその干された黒いパンティを眺めていた。その僕の心情はスウェーデンの全てが氷で作られたホテルの最上階からオーロラを眺めるような心情だった。それが見事なまでにゆらゆらと揺らめいていたからだ。

哲也はそんな僕を嘲笑うように洗濯物に向かって行く。覚悟を決めた人間ほど恐ろしいものはない。こちらを振り向く事なく、哲也は洗濯物に手を伸ばし、黒いパンティを抜き取った。
僕と哲也はそこから数メートル程離れた家と家のわずかな隙間に入り、そのパンティを広げた。


哲也
な?小さいだろ?


薄いね。パンティ越しに世界が見えるじゃん

哲也
もう一枚持ってくるわ


哲也は曇りのない真っ直ぐな意志で洗濯物に向かっていき、今度は白いパンティを抜き取ってきた。その迷いのない行動を見て、常習とは素晴らしいと感じた。
僕の手に中にある黒いパンティを見つめているうちに、突発的衝動にかられた。


このパンティ、穿いてみたいんだけど。

僕はどうしてもそのパンティの穿き心地を知りたかった。そして知る必要があった。何故なら我々には性別があり、それは外界に飛び出す以前、神の意志によって与えられたもので、その与えられた性別という義務を我々は真っ当しなければいけないのだが、真っ当するには我々は……(以下360文字程度省略)
つまり、これらを踏まえた正当な判断により、僕はパンティの穿き心地を確かめる必要があったのだ。

少しばかり時間があき、哲也は僕に提案を持ちかけた。

哲也
じゃあさ、ジャンケンで勝った方が穿けるってのはどう?


完璧な提案だった。仮令全国民を前にしてのプレゼンであったとしても国民は深くうなずいていたであろう完璧さがあった。そして僕らは勝った方がパンティを穿ける画期的システムを導入し、初代パンティ穿きを決めた。パンティは僕を選んだ。

穿き心地についてどう表現したら適切なのだろうか。
男のパンツは穿いている感覚であり
女のパンツは穿かされている感覚である。
男のパンツは自由、開放、尊重をおもんじ
女のパンツは執着、監視、包容をおもんじ
それらは対称的位置に身を置きながら実に見事に互いに釣り合っているのだ。


涙が溢れそうだった
勿論情けなくではない。感動のあまりにだ。
僕のその感動が哲也に伝わったのだろう。
再び哲也はジャンケンを申し入れた。

そして再び、僕は勝った。
今度は純白のパンティを穿いてみた
穿き心地について…(以下同文)


その日、白と黒の二枚のパンティを収穫した僕らは現場から数メートル程しか離れていないそこに簡易的な容器を用意し、その中に大事に閉まった。家と家の間の狭いその場所に誰かが来るなどとは考えられなかったので僕らはその場所をサンクチュアリと名付け、重宝する事にし、解散した。


それから僕らは数回に渡り、軽犯罪を繰り返した。その度に例のシステムを用いたが、僕はそのほとんどを勝利した。いや、パンティが僕を選ぶと言った方が適切なのかもしれない。









ある日、S先生に僕と哲也は呼び出された。

S先生
二人とも、どうして呼び出されたか分かる?

学校に通報があったわ





僕と哲也は通報されたのだ。
何よりも悲しかったのは僕のその癖を、S先生に知られてしまった事だった。
結局持ち主は子供のいたずらだからという理由で大事にはしたくないと学校への通報だけで済ませてくれた。そしてS先生は両親には今回は言わないと約束してくれた。
S先生
その代わり人の物はもう盗らないと約束してくれる?

僕も哲也もライウ゛の終盤に差し掛かったX-JAPANの最前席にいるかのように首を上下させた。だからその後の記憶は何やらごちゃ混ぜになってしまっている。




哲也との交遊はその後も続いたが、別々の高校に進学した時点で交遊記録はストップした。たまに町で見かけたが、会話を交わす事はなかった。
風の噂で、当時流行したエアマックスなどのハイテクシューズを盗むハイテク狩りをしていると聞いた。町を歩く彼の姿を視界にいれながら、喉まで出かかった言葉を僕は飲み込んだ。

HEY BOY!そんなナンセンスな事すんなら、サンクチュアリにパンツ納めに行こうぜ
【2005.06.28 Tuesday 13:47】 author : ポルキス佐藤
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