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【2006.09.05 Tuesday 】 author : スポンサードリンク
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南南西より東北東を狙い撃て
中学校にあがるとすぐに新しい友達が出来た。
そいつらとの奇跡体験アンビリーバボーを語るにはこのblogなんかじゃいささか容量が足りないかもしれない。
そんな中学の思い出アルバムを少しづつめくっていこうと思う。


僕はまだ二足歩行がままならない時期から両親のスキー板に乗せられてスキーを楽しんでいたそうだ。小学生の頃におじいちゃんが撮影した8mmフィルムにもその様子が焼き付けられていた。頼りない記憶の中でだが小学生の卒業アルバムにはスキー選手になりたいと書いたような気がする。
僕は当然のように当時スキー大会(大回転の部)で優勝する事が出来たし、同年代の誰にも負けない自信があった。
そんな僕が何故スキー選手になる事を諦めたのか、或いはブーツを脱ぎ捨てたのか。

それはあの英雄、イタリアのアルベルト・トンバと僕が出会った日の事だった。

当時僕が住んでいた町ではす●らんスタンプシールというのがあって、町で100円の買い物をすると一枚もらえるシールがあった。それを150枚だったか集めると一冊となり500円分の買い物、もしくは色々なイベントに使う事が出来た。
冬になるとす●らん10冊でスキー旅行に行ける企画があった。
僕は父に頼んでこの企画に参加する事にした。そして友人のGEORGEともっちゃんもこの一泊スキー旅行に参加する事になった。平たく言えばす●らん30冊役者は揃ったのだ。

朝早くにバスに乗り込み、一眠りすればそこは白銀の世界が広がっている。
僕らはスニーカーを脱ぎ捨て、ゲレンデに舞い降りた。
昼間、僕らは大会が行われているスキー場でアルベルト・トンバの滑走を目撃した。トンバは僕の憧れの存在で、彼のようになりたいと僕はトンバの滑走をビデオに録画して何度も観ていた。
周りの友人達がスーパーカーに憧れ、そのスピードに胸を熱くする中、僕だけはトンバの滑走にそのスーパーカーのスピードを凌駕する力強さを見つけていた。

そんなトンバの滑走に熱くなり、僕はその日の夜、ナイターで彼の滑走を再現しようと決めた。



そしてその夜


僕とgeorgeともっちゃんの三人は互いを急かすように食事を済ませた後、準備も早々に外に出た。

三人が揃うまで、僕はペンションの周りを暇をつぶすために散歩した。入り口から出て駐車場に向かう。僕はそしてソレを見た。


湯けむりを



周囲の状況を図で紹介しよう

a


入り口を出て駐車場に立ち、踵を返すと、右側にかすかに見える湯けむりが昇る姿を視界に捉える事が出来る。
湯けむりを正確に言うならばそれは“状態”でしかないが、根源にあるものを正確に言おうとするならばそれは“浪漫”であり、言葉に飾り文字を添えれば

“女、乳露わに入浴状態”


である。加えて言えばライトアップされたスキー場の明りが湯けむりに色を添え、ほんのり薄いピンクに見えた。

僕がその湯けむりを宿命的に発見してすぐにgeorgeが入り口から現れた。僕はgeorgeに息を殺し、しかし確かに伝わるような声で状態を伝えた。

ぉぃ、見ろよ!浪漫!浪漫!見えるか?浪漫

スキーブーツは大地との間に板を挟まぬ限り悪意的に歩きにくい靴である。そのスキーブーツを身につけながらgeorgeは雲の上を散歩するような軽さで走ってきた。そして踵を返し、ソレを見た。

george、お前には見えるか?浪漫が。

あぁ、はっきりとな。浪漫が。


実はこの時、既にもう一人の友人もっちゃんは既に滑走しにスキー場に向かっていた。スキー場で待ち合わせる事にしてたのだが、僕とgeorgeはその事をすっかり忘れてしまい、目の前の浪漫を見ていた。

目指すか?あの浪漫を

どちらから言うわけでもなく、僕とgeorgeは同じ志を胸に、浪漫に向かうのだ。しかし周囲を把握しようとあたりを見回すと、ペンションの二階にバスガイドの姿があった。そして故意的に窓辺を、つまりこちら側に構えていた。
僕達に気付いているわけでもなく、ぼんやりと景色を見ているだけのようだったが、誰もいない夜の駐車場を堂々と横切る事でバスガイドに見つかる事は不本意だった。しばらくバスガイドが窓から離れるのを監視していたが、どうやら視線を反らすつもりはないように見えた。

しびれを切らしたgeorgeが提案を持ちかけた。

歩伏前進で目指すか

今にして思えば二階にいるバスガイドからすれば歩伏前進した所で視界に入る確率は同等であるはずだし、仮に見つかった場合を考えると絶対的に逆方向の選択をしたような気がするが、僕達は疑う事なく、歩伏前進で進んだ。

バスガイドの視界をくぐり抜け、僕達は浪漫まであと数十メートルの場所まで辿り着いた。しかしそこから先は整備されず、白銀は僕達の背丈もあろうかという程に積もっていた。足を一歩前に進めると重いブーツを履いた僕達の体は腰まで白銀に埋もれた。

ブーツが僕達の足枷となるとは。

僕達はこのブーツを呪った。

この靴は滑走するためなのではないのか。

この靴は誰よりも早くゴールに辿り着く為の手段ではないのか。


この靴は僕のを叶えてはくれないのか。


僕はがむしゃらに頑張った。
そして手の届く距離に浪漫を見た。

数歩先を歩んでいたgeorgeが白銀を抜け、ついに浪漫をその手に掴んだ。
そしてgeorgeは浪漫に身を包み、僕を呼んだ。
「早く来い!」

白銀の世界を超え、その先の浪漫に僕は走り出す。

僕とgeorgeは浪漫に身を包まれながら肩を並べた。
そして零れた。


男湯じゃないか…


その時既に2時間余りの時が経っていて、まもなくもっちゃんはナイターから返ってきた。僕とgeorgeはスキー板を抱え、足枷となるブーツを履き、ある意味滑った。僕とgeorgeはす●らんスタンプ合わせて3000枚を使い、何を得たのだろうか。それは永遠に分からないけれども、あれから10年以上経つというのに、場所を東京に移し、同じ区内で相変わらずな毎日を過ごす僕達の関係は、あの日のリベンジをするまで終わらないと薄っすら感じている。
【2005.07.03 Sunday 14:31】 author : ポルキス佐藤
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【2006.09.05 Tuesday 14:31】 author : スポンサードリンク
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